貸株って聞いたことあるけど設定しておいた方がいいの?
金利収入が増えるけど何かデメリットはないの?
米国株で貸株ってできないの?
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。結論からいうと、貸株は安定した金利収入を得ることができ、不労所得を増やしたい人にとっては設定するメリットがありますが、デメリットもあります。
やるのであればデメリットをしっかりと理解しておく必要があります。
この記事を読むと、貸株を行うときに陥りやすい落とし穴を回避する方法がわかります。
貸株のメリットは「手間なく金利が毎月受け取れる」
貸株のデメリットは「証券会社が破綻すると資産が保護される保証がないこと」「配当金が雑所得になる可能性がある」
デメリットが大きいが、これらのリスクをとれるのであればやる意義あり
米国株より国内株の貸株の方が良いかも?
貸株とは

貸株とは証券会社が提供しているサービスで、自分が保有している株式を貸し出すことで、見返りとして金利収入を得ることができるサービスのことです。
貸し出された株式は証券会社を介して、貸株市場に貸し出され、銘柄ごとに設定された金利が支払われます。
長期投資で保有している銘柄で、長く売却予定がない方は一考の余地ありです。
貸株ってどんなサービス?
一般的な貸株のサービスの内容は以下の通りです。
- 配当金とは別に貸株金利がもらえる
- 貸株はいつでも売却可能
- 毎月収入を受け取れる
- SBI証券では米国株の貸株が可能
- 実際にどのくらい受け取れる?
配当金とは別に貸株金利がもらえる
証券会社に自分の株を貸し出すことで、その見返りに金利を受け取ることができます。このことを貸株金利と呼びます。貸株金利は各銘柄の配当金とは別に、証券会社を経由して支払われます。
貸株はいつでも売却可能
貸株は貸株中でもいつでも売却が可能です。証券会社に株を貸し出すので、一時的に自分の口座内資産から外れることになりますが、一般に貸株設定を解除するなどの手続きをすることは不要です。
毎月収入を受け取れる
貸株金利は、毎日の終値と貸株市場で決められた貸株料率を乗じて、毎日計算されます。金利の支払いは毎月行われるのが一般的で、配当金の支払い日とは異なります。
SBI証券では米国株の貸株が可能
貸株は国内株式の現物取引口座や、信用取引口座内の保有銘柄で行うのが一般的ですが、大手ネット証券の中で、唯一SBI証券は米国株での貸株を行っています。米国株をSBI証券で保有している方は、貸株を米国株で利用することが可能です。
実際にどのくらい受け取れる?
SBI証券を例にとってみてみると、国内株式の貸株サービスは貸株金利最低0.1%となっており、銘柄によっては14%という高金利のものもあります。
対して米国株の貸株料率は年率0.01%~2.0%ととなっており、ほとんどの銘柄が0.01%と国内株式とは違って金利が低く設定されています。貸株料率は確認するならこちら(ログインが必要となります。)
国内株式貸株サービス 適用金利一覧はこちら(SBI証券HP)
↑米国株貸株サービスの適用金利は上記ページのリンクから飛ぶと確認することができます。
年率0.01%ということは100万円分の株を持っていたとすると、毎年100円分の金利収入ということになりますが、銀行の10倍の金利とは言え、これではリスクに見合うリターンと言えるかは怪しいですね。
国内株式と米国株式を比較すると最低金利でも10倍の差があります。米国株の貸株サービスはSBI証券でしか取り扱われていないので、競争相手がおらず、貸株料率も低いと思われます。
とはいえ、安定したキャッシュフローであることには変わりないため、長期保有している株式を有効活用して、少しでもキャッシュフローを増やしたいと考える人にはお勧めです!
- 貸株は自分の株を証券会社に貸し出して、代わりに金利を受け取れるサービス!
- 貸株はいつでも売却可能
- 安定したキャッシュフローが得られる貴重なサービス
- 米国株の貸株ができるのはSBI証券だけ
一般的な貸株のデメリット

貸株のことに興味をもつと、一番初めに考えるのが
「貸株をやると、何かデメリットはないのかな?」
ということだと思います。この質問に一番最初に答えていきたいと思います。
貸株をする上でのデメリットは以下の通りです。
- 貸株金利は雑所得となる
- 配当金が雑所得になる可能性がある
- 証券会社が倒産すると貸株が返ってこない可能性がある
- NISA、単元未満株は貸株対象外
- 株主優待が受け取れない
貸株金利は雑所得となる
貸株金利は配当金と違い、雑所得扱いとなります。

雑所得とは9つの他の所得のどれにも含まれない所得のことをいい、公的年金や、副業収入などが含まれます。
株式などで得られた利益が分類される譲渡所得や株式などから得られた配当金が分類される配当所得が、分離課税を選択できるのに対して、雑所得は総合課税のみとなっています。雑所得の課税方法については下記をご覧ください。

雑所得の税率は、総所得金額によって違いますが、330万円以上の方であれば、所得税20%、住民税10%がかかることとなり、譲渡所得などの税率よりも高い税率がかけられることになっています。また雑所得は、譲渡所得や配当所得などと損益通算はできません。
さらに雑所得が年間20万円を超えると確定申告が必要となります。20万円を超えない場合は確定申告不要ですが、住民税申告は必要となります。
これまで確定申告をしていなかった会社員の方などにとっては、確定申告を新たにしなくてはならないのは少し負担に感じるかもしれません。
ちなみに配当金の場合は、配当所得となります。比較として雑所得との課税方法の違いを下記に載せておきます。

と雑所得のデメリットを解説しましたが、貸株金利は配当金とは違うので、雑所得となるのは仕方のないことともいえます。安定したキャッシュフローと引き換えに多少のデメリットは許容しても良いのではないでしょうか。
配当金が雑所得になる可能性がある
貸株サービスでは、貸株を設定している間、証券会社に株を貸し出しているため、配当金の権利も貸主に移ることとなります。そのため、貸株を設定している間に配当金権利日がくると配当金が直接顧客に支払われず、貸主が受け取ることになります。証券会社は顧客に配当金を支払うために、「配当金相当額」を顧客総合口座に入金します。
この配当金相当額は、本来受け取る配当金の代わりとなるものですが、“配当所得”ではなく、”雑所得”扱いとなることになっています。
配当金が雑所得になると、4つのデメリットがあります。

1つ目に税率が変更となります。株の売買や配当で得られる所得(譲渡所得・配当所得)は申告分離課税(税率一律20.315%)となるのに対して、雑所得は総合課税(給与所得などと合算)となり、最大で45%の税率がかかります(年収額によって変わります)。
2つ目に、譲渡損失との損益通算ができなくなるという点があります。株式の売買で損をしてしまった場合に、他の譲渡所得や配当所得と損益を相殺して、課税所得を減らすことができる制度ですが、雑所得はこれに含まれません。
3つ目に、配当所得で受けられる配当控除、および外国税額控除が対象外となってしまうことです。外国税額控除の対象とならないことはSBI証券に問い合わせて、確認済みです。

4つ目のデメリットは確定申告をする必要が出てくることです。これは貸株金利を受け取る時点で行う可能性が出てきますが、配当金が配当金相当額になったりすると、受け取る収益が複雑化し、確定申告時の手間が増えることが懸念されます。
ここまでの説明で配当金が雑所得になると、数々のデメリットがあることは分かっていただけたと思いますが、これを回避するためにはどうしたらよいのでしょう。
株主優待・配当金自動取得サービス
証券会社では配当金が雑所得となることを回避するために、権利日だけ貸株を一時停止する設定を設けています。楽天証券やマネックス証券では「株主優待・配当金自動取得サービス」などといった名称がついています。SBI証券のカストック(米国貸株サービス)ではデフォルトで配当権利日に返却されるため、配当金として入金されるようになっています。
この設定のおかげで配当金を受け取れる場合もあるので、検討している方は各証券会社で調べてみることをおすすめします。
この後SBI証券の米国株貸株サービスについては詳しく解説していきます。
証券会社が倒産すると貸株が返ってこない可能性がある
貸株に設定された銘柄は、証券会社が自社の資産と顧客の資産を分別管理する対象から外れることになり、証券会社が倒産した場合に返還されなくなるリスクがあります。
また投資者保護基金(証券会社が分別管理するべき顧客の資産を分別管理していなかった場合に、1000万円までの資産を保護してくれる)の保護対象から外れてしまいます。
こちらも貸株をする上で大きなデメリットといえます。そこまで可能性が高くはないとはいえ、リスクであることには違いないので、リスクとリターンが釣り合うか各自で判断する必要があるといえます。
NISA、単元未満株は貸株対象外
貸株サービスはNISA口座内の銘柄や単元未満株などは対象外です。
株主優待が受け取れない
前述の配当金と同じように株主優待についても、貸主に権利が移ってしまうために取得できなくなってしまいます。また株主優待の中には長期保有(または継続保有)が条件となっている優待もありますが、それについても受け取れなくなる可能性があります。
マネックス証券は、長期保有条件の株主優待も取得できるようなサービスも展開しています。
いずれの場合も、予定にない配当金や株主優待などは取得できなくなってしまう可能性があるということは、頭に入れておく必要があるでしょう。
米国株は株主優待がある銘柄の方がめずらしいくらいなので、米国株の貸株ではあまり気にする必要はありません。
貸株のデメリットは大きく5つ
- 貸株金利は雑所得となる
- 配当金が雑所得になる可能性がある
- 証券会社が倒産すると貸株が返ってこない可能性がある
- NISA、単元未満株は貸株対象外
- 株主優待が受け取れない
SBI証券で貸株をするメリット

ここからはSBI証券の米国株貸株サービス(カストック)について詳しく解説していきます。
SBI証券の米国株貸株サービスを利用するメリットは次の通りです。
- 米国株で貸株が利用できる
- 一度設定すれば自動で貸株をしてくれる
- 配当金が雑所得になってしまう心配が少ない
米国株で貸株が利用できる
SBI証券ではネット証券で唯一米国株で貸株が可能です。米国株式の貸株サービス:カストックでは国内株式の貸株サービスと変わらず手軽に申し込むことが可能です。
対象の銘柄はADRやETFなどを含む、米国金融取引所上場銘柄で、その数なんと5800銘柄。SBI証券で取り扱いのある銘柄のほぼすべての銘柄で貸株することができます。
一度設定すれば自動で貸株をしてくれる
SBI証券のWebサイトから貸株サービスへ申し込むことができますが、一度申し込むと貸株非対象銘柄等を除いて全ての銘柄の全数量が貸株設定され、個別に設定する手間はありません。
また貸株サービス利用中に新たに買付を行ったり、他口座から移管入庫した銘柄についても、自動で貸株設定となります。
もし貸株に設定したくない銘柄があれば、除外設定をすることが可能です。またSBI証券の貸株サービスでは貸株中いつでも売却が可能です。売却する際に貸株を解除する手続きは不要です。
貸株金利は受渡日の前日まで付与されることになっています。金利は毎日計算され、ひと月分が翌月の第5営業日に支払われます。
配当金が雑所得になってしまう心配が少ない
通常の貸株では株主優待・配当金自動取得サービスに設定していないと、配当権利日も貸株が継続され、配当金が配当金相当額として支払われます。そうすると所得が雑所得になってしまい、控除の対象外になったり、損益通算ができないなどのデメリットがあります。
SBI証券の米国株貸株サービスでは、デフォルトで配当権利日に自動返却され、配当金を取得できるようになっています。
SBI証券のHPでは配当金が配当金相当額として払われる可能性があると注意書きがありますが、どういった状況で配当金相当額となるのか実際に問い合わせてみました。

これによると、米国企業が急に配当を出すこと決めた場合があると、配当金として支払えない可能性があるということでした。基本的なスケジュールで支払われる配当金に関しては、配当金として支払われる可能性が高いと考えてよいでしょう。
まとめ

貸株はやる意義があるのか
今回貸株をやる上でのメリット、デメリットについて解説してきました。
やる上で色々なデメリットが見えてきたのではないでしょうか。
著者の考えでいくと、米国株で貸株をやるのはリスクにリターンが見合っていないと感じました。
1点目は貸株銘柄は分別管理から外れ、証券会社の信用リスクを負うことになるため、少ない金利のために、大きな資産を預けるのは長期投資においてはリスクが高いと感じました。
2点目は配当金が配当金相当額になるという可能性があることです。
特に米国株の配当金は米国との二重課税が課されるため、外国税額控除の対象です。この外国税額控除が受けられなくなるのは痛いデメリットです。
SBI証券ではデフォルトで配当金として支払うサービスがなされるといっても、権利落ち日が急遽変更になることもあるようなので、わずかな貸株金利を得るために配当金が雑所得になり、税金負担が増えることになってしまっては、身も蓋もありません。
自分で権利落ち日に合わせて貸株設定を手動で解除する方法もありますが、解除を忘れてしまう可能性も高いと思うので、現実的ではないと思います。
ただ安定したキャッシュフローが得られるのは大変貴重なので、人によってはリスクを承知の上でやりたい!という方もおられるでしょう。
よくよく注意事項を熟読した上で実施していただきたいと思います。
貸株の活用方法は
そんなメリットを感じにくい貸株ですが、今後活用するメリットはあるのでしょうか。
一つは米国株は最低金利が0.01%に対し、国内株は最低金利が0.1%と優遇されているため、国内株式の貸株サービスはリスクに見合うリターンが得られると考えてもいいでしょう。得られる金利が多いため、国内株式を多く運用している方は検討しても良いかもしれません。
また銘柄によっては配当金や株主優待よりも、成長性を期待している銘柄もあるかもしれません。配当金が出ない分、貸株に出して貸株金利を得るというのは合理的かもしれません。
ただし注意したいのは、貸株金利を得る目的で株を保有するのは本末転倒です。貸株金利はおまけ程度に考えておくとよいでしょう。